鼻の病気
鼻の病気
かぜは正式には「かぜ症候群」といって、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰などを主症状とする上気道(鼻やのど)の急性炎症の総称です。発熱、咽頭痛、全身倦怠感、食欲低下などを伴う場合があります。原因微生物の80~90%はウイルスが占めており、粘膜から感染して炎症を起こします。かぜは放置しても自然に治ることが多いのですが、こじれてしまうと気管・気管支炎、急性副鼻腔炎、急性中耳炎、滲出性中耳炎などの合併症を起こします。
かぜは、主に上気道の炎症で、合併症も耳、鼻、のどに関するものが多いため、耳鼻咽喉科を受診することが多い病気です。
アレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となる物質)を吸入することで、抗原と抗体が鼻の粘膜で反応し、鼻症状を起こすのがアレルギー性鼻炎です。アレルギー性鼻炎には、1年通して症状が出現する通年性アレルギー性鼻炎と、季節の花粉などが原因となる季節性アレルギー性鼻炎、いわゆる花粉症があります。通年性アレルギー性鼻炎の原因は家の埃やダニの糞・死骸などです。ペットのフケやカビも原因となります。季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)には、スギやヒノキ、ブタクサなどがあります。
以前は内服薬や点鼻薬による治療が主な治療法でしたが、現在では舌下免疫療法や生物学的製剤、手術療法も存在し、患者さんのライフスタイルに合った治療法が選択できるようになりました。
ウイルスや細菌が副鼻腔に感染する病気です。かぜをひいた後に生じることが多く、かぜに続いて細菌感染が副鼻腔にもたらされます。膿のような鼻汁が出て、限られた空間に膿がたまるため、頬や目の奥が痛みます。頭痛、頭重感、発熱などを伴うこともあります。小児は大人に比べて副鼻腔炎になりやすい傾向があります。速やかに治療を開始しこじらせないことが大切です。
絶えず鼻水が出る、鼻水がのどに落ちる、常に鼻がつまり口で呼吸をしている、においを感じにくいといった症状が長期にあります。治療は鼻内の清掃、鼻洗浄、ネブライザー吸入、抗生剤や去痰剤、抗アレルギー剤などによる薬物療法を行います。比較的長期にマクロライド系の抗生剤の内服を行いますが、治らない場合は手術検討のため手術ができる病院へご紹介することもあります。
副鼻腔炎と同様の症状、もしくは無症状で偶発的に見つかる場合があります。原因としてカビ(真菌)が影響し、やや高齢の女性に多い傾向です。レントゲンで診断することは難しく、CT検査が必要となることが多くあります。治療法としては、抗生剤などの治療効果が乏しく、手術療法が必要となります。通常は鼻の中に存在しているだけで影響はありませんが、時折急激に症状が悪化し、全身への影響を及ぼす場合がある為、注意が必要となります。
左右の鼻腔をわける中央にある壁を、鼻中隔といいます。多くの日本人は、生まれつきもしくは成長の過程で鼻中隔が曲がっていますが、強く曲がっている場合を鼻中隔弯曲症といいます。鼻中隔弯曲症は片方の鼻の空間が狭くなるため、狭い鼻腔の鼻づまりが出現します(その他の影響で両側の鼻づまりが出ることもあります)。また、鼻中隔弯曲症の鼻づまりは長期的に認められるため、自覚症状が乏しい場合もあります。鼻が通ることは、日常生活をするうえで非常に重要となる為、少しでも鼻がつまる症状がある場合は、受診をお勧めします。
治療するには手術が必要となります。曲がっている鼻中隔の部位を切除し、鼻の中をまっすぐにすることで空間を広げ、鼻の通りを改善させます。
いわゆる鼻血と呼ばれ、鼻をほじって傷つけてしまったり、鼻をぶつけるなどの外傷などに伴い出血が見られます。何の前触れも無く出血することもあります。
鼻の入り口付近は、細かい沢山の毛細血管が密集している為、少しの傷でも出血しやすい場所となります。出血した際は、小鼻をつまんで圧迫しながら、座って前かがみになり数分様子見をしてください。小鼻の圧迫で止血しない場合は、鼻の奥からの出血の可能性があるので、早めに受診してください。
においが感じられなくなる症状を嗅覚障害と言います。原因を調べるために視診、内視鏡検査、CT検査などを必要に応じて行います。
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症などが原因となってにおいが嗅粘膜(鼻の上の部分)まで届かないことでおこります。
嗅粘膜に分布している嗅神経自体が、感冒などのウイルス感染症や薬剤の影響などにより障害をうけたり、外傷により嗅神経が切断されるために生じます。
頭部外傷や脳の病気(脳腫瘍、脳出血、脳梗塞)によりにおいを感じない状態です。パーキンソン病やアルツハイマー型認知症でも嗅覚障害が合併することがあります。
鼻腔がんや副鼻腔がんは、副鼻腔または鼻腔内の組織に悪性のがん細胞が発症する病気です。片方の鼻づまりや鼻水に血が混じるなどの症状があれば、早めに受診しましょう。